第三回日台生態学シンポ(正式には「日台共同研究ネットワークへの参加推進プログラム:気候変動に対する生態的応答予測に向けた観測・実験・理論・解析研究の統合」)の参加者とプログラムが決まったようです。
このワークショップでは、研究発表のほかに共同研究を目指したグループディスカッションとアイディア発表会があるのが面白い点です。参加者の所属をざっと見ると、海洋・森林・個体群動態という感じらしいです。主催者の所属がもろに反映されています。いったいどのようなグループ分けがされるのでしょうか。領域の近い者同士でなると、結局はラボメンバーと一緒にやるということになってしまいますから、敢えて違う領域の人を混ぜるということを期待してしまいます(私はいちおうオーガナイザーに入っていますが実際にはノータッチ)。その場合、議論の初期でかみ合わない問題が出てくるのではないかという懸念があります。
まず、ワークショップの大きな関心は「気候変動が生態系や生物多様性にどのような影響を与えるのか」ということだと思います。そして、気候変動生物学に生物間相互作用と群集生態学の知見を活かしたいという思惑があります。しかし、みなさんもうご存知の通り、生物の個体数や分布は環境(気候)のみが影響するというのが現在の気候変動生物学の主流の考え方です(動物、植物を問わず)。ここのギャップを乗り越えて、群集生態学の議論をできるのかというのが第一の懸念。
基本的に植物でも生物間相互作用を考えずに多様性予測などがされいますし、植物こそ気候によって制御されているのではないかという印象もあります。しかし、生物間相互作用を考慮に入れた予測モデルが作られたのは実は植物なんです(と記憶しています;引用忘れ)。ここでは、相互作用は競争です。マクロ生態も森林で発展しましたし、同じようなニッチを持つ競争関係にある種からなる群集でそのような気候変動モデルが出てきたのは不思議ではないかもしれません。この流れはまだ食物網レベルには達していません。おそらく、まだ植物レベルでも確立していないでしょう。
一方で、海洋の場合、生産者より上位栄養段階の生物に興味がるのですが、種の概念は殆ど考えず、サイズベースの群集生態学が主流です。海洋では種内のサイズ変異(個体成長)が著しいので、生物間相互作用はサイズ間で考えます。サイズを考えると、気候変動の影響や複雑な生物間相互作用を考えやすいという利点がありますが、種間相互作用を疎かにするという欠点もあります。だから、種ベースとサイズベースを噛み合うのかというのが第二の懸念。
個体群動態や理論の人は異なる考え方をまとめやすいのではないか、と勝手に思い込んでいるのですが、そんなことができそうになく、自分の立ち位置が不安。というのが第三の懸念。
もう一つの懸念は、温泉どこに行こうかな。やっぱり豊平峡とインド人のカレーかな。
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